シリーズ記事第五弾です。
・排便トラブルが始まったのが小学部6年の夏
・便意を感じることができるようになったのが中2の夏
・1人でお便所から出てこれるようになったのが中2の3学期
今回は、噴出した出した問題行動(強迫的なこだわり行動)に対して
支援の見直ししていった内容になります。
※また長くなるので分割して書いています。
目次
1.指示待ち
2.善意のかかわり
3.表出ができるように
1.指示待ち
1-1 指示待ちの様子
受動タイプで指示待ちになりやすく、
一番私とては気をつけてきたポイントです。
ただ、今回の指示待ちは少々今までのパターンとは違いました。
どう違うかというと・・・
一度、支援者(親でも先生でも)が出したプロンプトをよく覚えていて
「この場所、このタイミングで、プロンプトが出るから待ちます」
ということをするようになったのです。
その顕著だったものが下駄箱。
学校内で当時、一番動かなかったポイントでした。
<下駄箱での息子の様子>
小学部に入学して以降、毎日毎日、スクールバスから降りたら
まず最初にすることが上履きにはきかえること。
ずっと問題なくできていたことです。
やることは当然のことながら、分かっているし、
どうすればいいかも分かっている。
自分の下駄箱の位置も覚えている。
なのに、動かない。
プロンプトを待っています。
先生の顔を見て、動きを止めてしまいます。
1-2 ABAでの対応
ABAで対応してくださった先生は、担任の直属の上司で、
自ら毎朝、下駄箱へ行き、その一連の行動を1つ1つ細分化して記録を取り、
動かない息子の状態を調べて下さいました。
プロンプトの出し方も、身体や言語だけでなく、視線など
いろいろ工夫をして取り組んでくださいました。
(残念ながら、実際の様子を生で見ることはありませんでした)
1-3 同時並行に取り組んだ支援
このABAという切り口での支援の見直しにプラスして取り組んだのが
下駄箱の次の活動に楽しみを入れることで、
「止まっている場合じゃない!」と思ってもらえるスケジュール作り
を担任の先生にお願いしました。
具体的には、
教室でカバンを片付けたら、すぐにプレイルームで
まず身体を動かすことを1日の活動の最初に入れてもらうことにしました。
ABAの取り組み、かつ楽しみにできる活動があることとで
ほどなく下駄箱のプロンプト依存は薄らいでいきました。
1-4 うれしい副産物 ~5分延長カード~
プレイルームに毎朝行くことで、
朝一から活動的にスタートできるようになったのは良かったのですが
新たな問題が起こったと担任の先生から連絡がありました。
すぐに学校へ赴き、関係する先生方と面談。
その問題とは
プレイルームで終わるタイミングが難しくなってきたとのことでした。
切り替えることがスムーズにできずに、怒るようになってきたというのです。
本人へ終わりをどのように伝えているかを尋ねると
「タイムタイマーをセットしています」とのこと。
タイムタイマーをセットしたら必ず、それが機能するかというとそうではない良い事例に感じました。
☑ 気になった点として
・タイムタイマーを見ているかどうか
・視覚的なタイマーであっても突然の知らせになっているのではないか
・「もうちょっと遊びたい」という気持ち
☑ 対策としてご提案させてもらったのが
・タイマーのセットするところを本人に見せる
・時間延長を要求してもらい、もう少し遊べるようにする
このときの担任の先生の対応は速攻でした。
翌日には5分延長カードを作成して使い始めてくださいました。
※5分延長カード:残り時間が5分のタイムタイマーの写真で作ったカード
このカードをMAX3枚ブックに貼り付けておき、
延長したい場合は、このカードで要求してもらうことにしました。
これにより、本人としては、「まだ終わりたくない」という気持ちをいったんはくみ取ってもらえたわけで、いきなり「おしまい!」ではなく
・自分の気持ちを分かってもらえた
・交渉できた
という満足感を得ることができ、このカード導入後はスムーズに切り替えることができるようになりました。
2.善意のかかわり
クラスメートの優しい心遣いである「善意のかかわり」に息子が戸惑っていたのです。
具体的にいつから、どのように、どれだけのかかわりがあったのかは把握できていません。
私が気づくた時点では、もう本人が大混乱の真っ只中でしたし、
私が気づいた問題点を順番につぶしていっていたので、気づくことが遅れたのかもしれません。
私が気づいたのは秋。
秋というと学校では次々とイベントがあり、子供たちもその変化の中で大変な時期です。
そんな中、クラスの中で唯一話すことのできない息子は
誰よりも混乱していて、その様子を見たクラスメートが助けようと純粋に手を差し伸べてくれていたシーンを目撃したのが最初でした。
その様子が担任の先生には「微笑ましい」もののように見えていたようです。
お友達を思いやる気持ちはピュアで素晴らしいものです。
また授業もスムーズにすすみますしね。
でも、息子の中では
指示されたことに従うことに慣れているのと
指示されることに思春期の子らしい「うっとおしさ」を感じだしていたのだと思います。
その様子に気付いて、すぐに担任の先生にお話しをし、
『温かく見守る、そしてできたときに、みんなで大きな拍手をしてあげよう!』
とクラスメートたちに提案してくださいと頼みました。
担任の先生がコツコツ対応してくださり、
クラスメートの1人1人がそのことを理解して行動に移す(見守る)ことができようになったのは3学期になってからでした。
3.表出ができように
3-1 指示を多く出されると
特に指示を周囲から多く出されて、その指示に従うことを繰り返していたり、
自ら行動しようとしたことを阻止されて、違う指示が出され従わされるという経験を多くすると
『自分で考えることをやめてしまう』のです。
こうなると、表出は出てこなくなります。
『自分の気持ちを表現していいの?』という おどおどした障害者 になってしまいます。
そしてストレスをためて爆発してしまうのです。
突然爆発した!なんて言われがちですが、そうではなく表出したいけれどできないからストレスをためているのです。
3-2 我が家の取り組み
こうなってしまうと、一からやり直しが近道です。
PECSのマニュアル(60ページ)にも書かれてあるように「訓練解除」というステップが必要になります。
「指示がないと動いてはいけない」と思い込んでしまい、身体に染み付いた状態からの脱却をはからねばなりません。
強化子に対して能動的にアクションを起こせるようにという目標を持った場面を設定します。
そのためには、強力な強化子が必要で、我が家の場合はジェットコースターです^^
遊園地へ行き、「次はあれに乗りたい!」と思ってしまう状況を作り
その気持ちを表出してもらうのです。
遊園地では、乗りたい乗り物に向けて小走りで先頭で移動してくれるようになってくると
「カードで教えてよ」なんていう展開に持って行きます。
あと、私がよくやるものに自転車があります。
息子は横玉付きの自転車に乗り、後ろから私がサポートをして進んでいきます。
※当時より少し古い写真です、イメージはこんな感じになります
曲がり角、障害物など、自分で自分の進む道・方向を即断即決していかねば自転車には乗れません。
「危ない」以外で出しゃばったことはせず、ただただ後ろからサポートし続ける・・・
なんていうことを取り組んでいました。
絵カード交換式コミュニケーション・システム トレーニング・マニュアル 第2版
posted with カエレバ
ロリ・フロスト,アンディ・ボンディ ピラミッド教育コンサルタントオブジャパン 2006
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